日記-2
“お前”は本当にバカで思いやりがあるんだな。
わけもわからず、しみじみとしていると、お母さんがトン、と俺の肩を叩いた。
娘は今でもあなたのことが好きなのよ、とお母さんは言った。
日記を手渡される。
真ん中辺りを開いてみると、おぼつかない字でいろいろなことが書いてある。
『今日も治療がきつい。彼は今なにしてるかな。』
『食事が喉を通らない。彼はご飯しっかり食べてるかな。』
『彼に会いたい。会って話したい。もう、可愛い彼女ができたかな。』
『苦しい。苦しいよ。彼は助けてくれるかな。』
俺はその場に崩れた。
いい年をして、声をあげて泣いた。
それでもお前は何も気付かずに、眉をひそめて眠ったままだった。