年上の事情。‐5-4
「昨日はありがとうね、鳴海くんのおかげだよ」
あたしは作業をしながら鳴海くんに言った。
「やっぱり元に戻ることはできなかったけど、ちゃんと別れることができたからよかった。あの時、鳴海くんが気付かせてくれていなかったら、まだ引きずっていたと思う。
今度はあたしが鳴海くんの背中押すから、なんかあったらすぐ言って。
すぐ飛んでくよ」
ホントそうだ、鳴海くんのおかげ。
「はい、よろしくお願いします!」
彼は満面の笑顔で答えてくれた。
うわっ、やっぱりこの笑顔…
かわいい…
あっ、でも鳴海くん童顔なの気にしてるんだった。
「…?」
鳴海くんが不思議そうな顔をした。
「ごめん、ごめん。お姉さん、つい貴方のことをかわいいと思ってしまいました〜」
鳴海くんはいつものように真っ赤になりながら、ムッと顔をしかめた。
「ほらー、だって、あたし達これからは素直になろうって決めたじゃない」
この間も感じた。
この空気。
やっぱり居心地がいい。
お互い、過去の自分を話したからだろうか。
鳴海くんと話していると、気が楽で、ホッとする。