年上の事情。‐5-3
「あたし達も、幸せになりたいよね〜」
あたしは、もう大丈夫だよ、と伝えたくてそう香ちゃんに言った。
「なりたいです!
…ていうか、先輩!昨日あの後、あたし辛かったんですからねー」
あ――。
「立花くん押さえるの必死で。
自分の好きな人が好きな人を想って追い掛けようとするのを止めるなんて‥
辛いですよっ辛すぎますっ」
「ごめん!ごめん!」
あたしはそう言って香ちゃんの肩を抱き寄せた。
「先輩、きっと告白されるのも時間の問題ですよ」
いや〜、それは‥
ていうか、まだそうと決まったわけじゃ…ねぇ?
会社についてすぐ、あたしは皆に頭を下げた。
「昨日は、格好悪いところを見せてしまって…
本当にごめんなさい」
つい先日、祝さんを怒ったばかりなのに、まさか自分がこんなことになるなんて本当に恥ずかしい…
皆は何も言わず、あたしに微笑んでくれている。
おっと、
ひとりからは熱い視線を感じるが。
「あ、そうだ。昨日迷惑かけちゃったから、今度の休みウチに来ませんか」
「やったー!」
祝さんが喜んでいる。
手料理でもごちそうしてあげようかな。
「おはよう」
そんな会話をしていると、石原部長と片山が出勤してきた。
「おはようございます」
今日はちゃんと言える。
部長と香ちゃんが笑ったのを感じた。
今度こそ、あたしは大丈夫ですよ――。
「五十嵐、プレゼンの手伝いをお願いしてもいいか」
「わかりました」
あたしは承諾し、鳴海くんも連れさっそくミーティングルームのセッティング向かった。