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ちょっと怖い話
【ミステリー その他小説】

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ちょっと怖い話-2

 次の日。
 相変わらず倉庫のダンボールは増える一方です。
「ああ〜あぁ…… やだな〜あたし…… ここのダンボール片付けするの」
「なーにぃ、あんたまだ昨日の事、気にしてんの」
「だってほら…… やっぱここって…… 出そうじゃない」
「あんたねぇ。……まあいいわぁ。今日はわたしも一緒なんだから、何が出ても平気でしょ。そんなことより今日中にこれ(ダンボール)かたさないと、また店長に叱られるわよ」
「はいはい、解かりましたよーだ」
 結局、昨日はあれからダンボールの片付けは放ったらかし。そのまま帰ってしまったせいもあるだろう。気が付けば今朝の分も積み重なって、倉庫の前はダンボールの山。
 店長さんはご機嫌斜めで、早速わたしにそれを片付けるよう言付けて来ます。
 私は嫌々ながらにも、佐藤さんに手伝ってもらい、朝からダンボール片付けに奮闘する事となりました。


 どのくらい経ったでしょうか。おおかたのダンボールも片付いて、あの足の踏み場も無かった古い農家の中も、いつしかガランと広くなると、ところどころに畳の緑色が目に付くようになりました。
「ねえ鈴木さん、一休みしようか。わたしジュースでも貰ってくるから」
「ありがとう佐藤さん。それじゃぁ私、残りのダンボール片付けちゃいますから」
「一人で大丈夫ぅ。トントン…… なーんちゃって、また誰かに背中を叩かれちゃうわよ」
「やだもー、脅かさないでよ」
「あはははっ。冗談よ。それじゃちょっと待っててね」
 そう言うと佐藤さんは私を残して、向かいのスーパーへと走り込んで行きました。


 そして少し経って。


”トントン トントン”
 また私の背中を突っつきます。
”トントン トントン”
 私はしばらく、クスクス笑いながら、どうせ佐藤さんなんでしょ! もうその手には乗りませんよ。とばかりに、黙って無視していました。
 けれども。
”トントン トントン”
 背中を叩くのを止めてくれません。
 仕方なく私は。
「うんもう〜! いい加減にしてよ佐藤さんったら!!」
 と、怒りながら振り向きました。


「○△□X!!!」


 そこに佐藤さんの姿は有りませんでした。
 振り向けば、真っ白な雲の様な塊がフワフワと空中に浮かんでいて、黒い目の様な物が ”ジッ”っと私を見詰めています。無論そんな物を見た私は、思わず悲鳴…… いえ、声にならない声を上げていました。
 白い物は私の上げた奇声に驚いたのか、フラフラと立ち上る煙の様に、ゆっくりと消えましが、なんだかそれが私には若い男の人の影の様にも見えました。


 白い影が消えて無くなると。
「きゃーーーーっ!」
 私は再び悲鳴を上げ、そのまま脇目も振らず、家の外へと飛び出しました。
 そして。
 慌てて駆けつけてくれた佐藤さんにしがみ付き、震えながら泣いていたのを、今でも忘れる事は出来ません。
 それから、そんな私の姿を見て、店長さんいわく。
「そうかぁ…… もうそんな時期になるんだなぁ」
 だそうです。


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