永愛-4
「好きなの。」
本当は気付いてた。でも気付かないふりをしてた。
「祐介さんが、奥さんを好きなのは知ってる。私には可能性ない?」
「俺も桃花のこと、好きだよ。」
桃花は嬉しそうに笑った。洋子…でも、俺はもう前に進まなきゃいけない。
その日、初めて彼女を家に呼んだ。子供を一緒に風呂に入れて、彼女の料理を食べて、テレビを見て、本当の家族になったみたいだ。久しぶりの幸せだった。
「私、本名は綾子なの。子供は優菜。」
桃花は綾子になった。
「店、もうやめなよ。生活苦しいなら、俺が助けるし!安月給だけど。」
それから、彼女は店をやめて、三人で一緒に住むことにした。
「綾子の両親に会いたいんだけど。」
「うちの親に?」
付き合い始めて半年が経っていた。
「私も、優菜産まれてからは全然会ってないの。やっぱり愛人の子を産むなんて、分かってもらえなくて。」
「でも、俺は認めてほしいし。」
「何を?」
「結婚。」
綾子はびっくりしていた。
「でも、私、元風俗嬢だし、子供もいるし…。」
「それ、付き合う時に聞いた!」
綾子は嬉しそうに笑った。
「今度の日曜日に、挨拶に行こう!」
金曜日の夜、家に帰ると電気が消えていた。嫌な予感がした。綾子の携帯に電話しても出ない。
「何で…?」
愕然とした。
ガチャっとドアが開く。綾子と優菜だ。
「お前!どこ行ってたんだよ!」
俺の怒声に優菜が泣き出してしまう。
「ごめんね…、買い忘れた物があってスーパーに…。」
「ごめん、俺、どうかしてるな…。」
綾子は俺と優菜を抱きしめて泣いてた。
「心配させてごめんね。メモ置いておけばよかったね。私、絶対、祐介さんを裏切ったりしないから。」
俺は、綾子と優菜を絶対、幸せにしよう。
日曜日、綾子の家に行った。彼女の両親は、優菜を見て泣いてた。自分の孫が可愛くないわけがない。でも、愛人の子を一人で産んで、娘は幸せになれるのか、もしかして綾子以上に彼女の両親は苦しんでいたのかもしれない。