アラー・アクバム-1
金と権力を背景に、俺の陣地は取り囲まれた。
俺は、生き残った数名の兵士とともにいる。
いや、生き残ったと言うのは適切でないかも知れない。最期まで神に忠誠を誓った仲間と言うべきだ。
世間は、我々を悪だと断罪するかもしれない。
いや、必ずそうするだろう。
しかし、本当に悪なのは私ではなく自らの正義を疑わぬ者だ。
無知の知
私は、正義が正義でないと知っている。
正義は相対的なもの。
それゆえに、私はいかなる正義も疑う。
むろん、我が正義もだ。
自らの正義を疑わぬ愚かな大国とそれに媚びる非国民よ。私は、彼等に対し我なりの正義を貫く。
偉大なる神は、私の行為をお許しになるだろう。
神聖なる神学校を血で汚したことを…
アラー・アクバム!!
たとえ、俺達がここで虫けらのように殺されても、俺達の掲げた旗が燃やされても俺はそれでいい。
中東には、イスラムにはイスラムの正義がある。
ジハード
そんな素晴らしい名前で呼ばれていいのかわからないが、俺にとってそれはジハードだ。
我なりの正義…
アラー・アクバム!!
完