lie-1
「ごめん。急に呼び出して。」
申し分けそうな顔で彼はあたしに謝る。どうして真剣に話しても気まずい空気になってしまう。あたしはそんなこと気にもしていないのに。いつかはこうなるって分かっていたのに。
「うん。」
何にたいしての肯定なのか。それはあたしにさえ分からない。早く終わってしまえばいい。そんな見えない苛立ちがまた心の中をくすぶっていた。
「もう、別れようか。」
やっと切り出したその言葉。涙は昔に枯れてしまったし、今更何の未練も残っていなかった。
「待たしているんでしょ?彼女」
あたしは意地の悪い女だから自分から突き放していく。たった六ヵ月の付き合いだったけど悪くはなかったかな。
「本当にごめっ」
「もう、いいよ。ほら行ってあげて。」
今度は謝罪をする機会を与えない。
あたしは見送る。立ち去る彼の背中を。
バイバイ。さよなら。
「本当はとっても、好きだったんだよ」
fin