BLACK TREE -プロローグ--1
人と本物の絆を結ぶ事は難しい。
―――高校2年生の冬、私は…
恋をした。
そして彼と結ばれた。
ベットの中。
行為の後、私は抱き合っている彼の胸に顔を埋める。
『何してんの??』
『…ん、祐が私を忘れないようにしてるの。』
『どうして??
俺はずっと美咲の側にいるよ。』
―わからない。
なんなんだろう、この妙な胸騒ぎは…
『…怖いの。』
『何が??』
『祐が私から離れて行くのが…』
『そんな訳ないだろ。
好きだよ、美咲。』
不安だ、
私の胸の奥にある暗く澱んだ場所がそう知らせる。
『…うん』
『ほら、顔見せて?』
彼は私にキスをする。
甘く痺れるようなキス、
心臓の鼓動が痛いほどに。
『祐…っ』
そしてそのまま私たちはまた、
お互いを求めあった。
2週間後、
私の予感通り彼は私から離れて行った。
悲しそうな笑顔を残して…
やっぱりそうなるのね。
だって祐、あなたは…
優しい人だから。
親友が愛している人である私を、
自分の手に閉じ込めるなんて出来なかったのね…
想いだけでは叶わない想いが…
こんなにつらいなんて知らなかった…