僕らの日々は。〜ゲームな休日〜-2
「にしてもなんでRPGの勇者って人の家の物盗んでも罪にならないのかしら？」
「…いや、それこそゲームだからだろ。まぁ、しいて言うなら勇者の特権じゃない？」
「でも普通家の物を勝手に取られたら怒るわよ」
「そりゃそうだけど…」
そんなこと言ったら勇者なんて、銃刀法違反に殺人に動物虐待に住居不法侵入に窃盗……と犯罪づくめだ。
しかもタチが悪い事に、犯罪を重ねれば重ねる程レベルアップして強くなるから手に負えないし。
「分かったっ!!」
「うわっ！何だよいきなり大声出して？」
「何で勇者が罪に問われないかが分かったの！」
「…何でさ？」
「要は見つからなきゃいいワケ。バレなきゃ完全犯罪よ。罪にはならないわ」
「完全に犯罪者の理屈だな……」
そんな奴が勇者を名乗っていたら、確実に世界は破滅する。
「つまりよ。勇者は鍛え上げた自分の賢さや素早さ、力をフルに利用して完全犯罪を成し遂げるのよ、きっと」
一般的には、そういう人は勇者ではなく盗賊と呼ばれると思う。
転職しろ、勇者。
「…そういえば僕も前から一つ疑問だったんだけどさ」
「何？」
「『戦士』とか『魔法使い』とか『武道家』はまだ分かるよ？……『勇者』って具体的には何をする人なんだろ？」
「勇気がある人じゃないの？」
「いやそれは職業とは言わないって…。そもそも勇者が職業なのかも疑わしいけど」
もし進路希望に『勇者』とか書いたら魔王退治に行く前に確実に病院に運ばれるだろう。
「まぁRPGの職業でまともなのなんて商人くらいじゃない？ひどいものじゃ『遊び人』とかまでいるし」
「まぁ確かに盗賊が職業として認められてる時点でかなり破綻してるけどね」
「でも考えてみれば『遊び人』なんて現実にもたくさんいるのよねー」
「へ？そうなの？」
「いるじゃない。働かずに家でネトゲして遊ぶのが仕事のニートが。彼らこそ現代の遊び人……」
「ストップ!!一葉ストップ!!」
なんかそれ以上はいろんな方々を敵に回しそうだ。
「何よ？」
「あのね、君はニートに対して偏見持ちすぎなの。別に皆が皆ネトゲしてるわけじゃないってば」
「そうなの？」
「そうなの。…というかホントにそう思ってたのか君は……」
まぁ確かにしてる人が多いのは事実らしいのだが。
「……むぅ。にしてもさっきからなんかヒマそうね、春風」
「まぁそりゃ一時間近くレベル上げを見てるだけじゃね……」
「よし。じゃあ格ゲーでもやる？」
「僕も遊べるやつなら何でもいいよ……」