舞子-1
手を取られて
引き寄せられて
抱き締められた。
きつく、きつく。
触れ合ったトコロが、全部、心臓になったみたいに脈打つ。
一体何が…
何が起きた?
――熱い――
壁の時計が10時を告げる。
静かな部屋に響くのは、時計の鐘の音と、私の心臓の音。
逃れようと、した。
だって、気付かれた。
キスしたこと。
どうしてあんなコトを…
逃れようと、した。
でも、その腕は、私を放してくれなくて。
もっと強く、抱き締められた。
「舞子…」
セイが、囁く。
耳元で。
それは、消え入りそうに細い声。
いけないって、わかってる。
姉弟だって、わかってる。
たとえ、血が繋がってなくても。
「舞子…」
囁く。
もう一度。
存在を確かめるように。
涙が、出そう。