座敷わらしと階段と……-1
もうあれから一週間も経ったから、僕の怪我も大分良くなってるみたいだ。
なんだか大変な手術をしたみたいなんだけど、僕は麻酔で眠ってたみたいだから覚えてない。
入院生活って、看護婦さんは綺麗で優しいし、お母さんもいつもより全然甘くて、沢山僕の欲しいものを買ってきてくれるのは良いんだ。だけど、テレビとかゲームが出来ないのは嫌だな。あと学校にも行けないし。
やっぱり、友達に会えないのはつまんない。ちょくちょく見舞いに来てくれるけど、やっぱり僕は鬼ごっことかをやりたいんだ。
ぐるぐる巻きされた包帯の下を撫でても、今は痛くない。
これなら走り回れそうだけど、看護婦さんはダメって言うからな……
それなのになのに風はカーテンを押し退けて部屋に入ってきて、僕を誘うんだ。
あ〜あ。やっぱりつまんないや。
それもこれも、僕が窓から落ちたからなんだけどね。
別に普通の家の窓から落ちたんだったら、こんな風にはならなかったと思うんだ。だって、僕の家はマンションの五階なんだもん。
普通の家より高いからさ、落ちたら危ないよね。
僕が落ちた窓はリビングにある窓で、下は階段になってるんだ。
そこから買い物に行くお母さんに手を振ってたんだ。
う〜ん。落ちてる間の事は覚えてないや。
あ、でも落ちた後のことは覚えてるよ。日曜日だからお父さんが昼寝してたんだけど、僕が落ちたって聞いたらもう凄い顔で走り寄って来て、僕の名前を叫んでたよ。
ああ、お父さんに僕が落ちたことを言ってくれたのは、ユウイチ君だったらしい。
ユウイチ君っていうのは僕の友達なんだ。凄い足が速くて、学年で一番じゃないかな。
よくユウイチ君とは遊ぶんだけど、ちょっと前にユウイチ君の大事にしてたプラモデルを僕が壊しちゃって、怒らせちゃったんだ。
でも土曜日に謝ったら無事仲直りできたけどね。
それで日曜日にユウイチ君が遊びに来たんだけど、結局あんまり遊べなかったよ。おまけに僕は窓から落ちちゃうしね。
そういえば、変なことがあったんだ。
なんかさ、窓から落ちて階段に倒れてるときに、僕空に浮かんでたんだよ。
フワフワ浮かんでて、宇宙に放り出されたみたいだったんだ。
だけど下を見ると僕を抱き抱えて泣きそうな顔をしてるお父さんがいるの。