舞子 〜想い〜-1
目を閉じれば浮かぶ、舞子の姿。
胸を焦がす、想い。
愛してるんだ。
狂おしい程。
こんなにも……
昼休み以来、隆史の様子がヘンだ。
ってゆーか、隆史が消えた。
(何だ…アイツ…)
午後からの授業。
1つだけ空席のヤツの机をぼんやり眺める。
隆史は何を考えてるんだろう。
舞子の隆史への想いに偽りなんてあるハズもないのに。
(何を今更…不安がってんだ?)
お前は舞子に愛されている。
そうだろ?
だけど、それが俺にとってはこんなにも妬ましい。
気が狂いそうな程に――
俺こそが、こんなにも舞子に愛されたいと願ってるのに…
机に突っ伏して、胸を押さえる。
俺こそが、こんなにも舞子を愛しているのに…
「セイー、何してんの?授業終わったよー、帰ろ」
顔を上げるとエナの姿。
(授業終わったのか…)
教室を見回すと、半数以上の生徒の姿はすでにない。
ゆっくりと、立ち上がる。
今日は、まっすぐ家へ帰りたい。
どうしてだろうか…
今日は、舞子に会いたい。
「俺、今日は1人で帰る」
カバンを掴むと、エナに言い放って教室を出た。
後ろでエナの声がしてる。
(悪い、エナ。でも今日は…早く…)
ブブブ…ブブブ…
突然、携帯のバイブが俺を呼ぶ。
廊下をたらたら歩いてる生徒らを縫うように歩いていた俺は、前を見たまま携帯を取った。