『4階』-2
ハルカ「ちょっとここヤバイんじゃないの?ナオキ。お母さんのところに戻ろうよ。」
直樹「大丈夫大丈夫」
何が大丈夫なのかがハルカには理解できず、謎がさらに恐怖を生んだ。
行き着いた場所は非常口の緑の光だけが灯る部屋の入り口だった。
ハルカ「何ここ?来ても大丈夫なの?」
ナオキ「うん。大丈夫だよ。ここにいいものがあるから。」
ナオキの言葉が耳に入るだけで、何故か吐き気がするほどの恐怖がハルカを襲った。
しかし、ハルカの体はどんどんその部屋へと吸い込まれようとしている。
ナオキ「こっちだよ。おいでお姉ちゃん。もうこの先だよ。」
ナオキは吸い込まれるように先に部屋へ入っていった。
ハルカ「いったい何があるって言うの?ナオキ」
ハルカも釣られるように後から部屋に入った。
光は非常口の緑の光のみ。それがハルカの恐怖をさらに増す。
ハルカ「なんでこんなところに入ってきたんだろう?ナオキ〜。ねぇってば!」
返事がない。
どうしようもない恐怖に見舞われたハルカは足がすくんで動けなくなった。
病院独特のホルマリンの匂いがハルカを襲う。
ハルカは恐怖のあまり声も出なくなっていたが、弟の声でハッと目が覚めた気がした。
ナオキ「お姉ちゃん」
その瞬間部屋の電気がついた。
そして、ハルカの目に驚くべきものが入った。
ホルマリン漬けの死体、腕、足だった。
ホルマリンがたっぷり入った人間の等身大が入るほどの大きな筒状水槽のようなものだった。
ここは男女問わず数十人は安置してあるホルマリン室だった。
そして、一つの大きなホルマリンケースには、