投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

赤兎馬 〜呂布との出会い〜
【歴史 その他小説】

赤兎馬 〜呂布との出会い〜の最初へ 赤兎馬 〜呂布との出会い〜 1 赤兎馬 〜呂布との出会い〜 3 赤兎馬 〜呂布との出会い〜の最後へ

赤兎馬 〜呂布との出会い〜-2

その日の晩、丁原の宿営はちょっとした宴会が開かれていた。
「李粛、いや懐かしい。わざわざ訪ねて来てくれるとは。さ、飲んでくれ」
「いやいや、天下に名を轟かす呂布に酒をつぐために参ったようなもの。私が先には頂けますまい」
呂布はおだてられ、かなりの上機嫌だ。
「わはははは! まあ、李粛。 気にせず飲んでくれ」
宴会はいい感じに盛り上がり、酔いも回って来た頃。李粛は作戦を実行に移した。
「呂布よ、我が主から贈物があるのを忘れていた」
「主? 李粛、お前も誰かに使える様になったのか。で、誰だ? 孫堅殿か? 袁術殿か? いや劉表殿か?」
「董卓様だ」
「董卓だと!?」
意外な答えに、呂布は酒をこぼすほどに驚いた。
「義理父と最近いがみやってる奴じゃねぇか! なんでそんな奴が俺に?」
「董卓様は君の力に惚れなさった。会って武勇を褒めたいと申されていたが、無理な話だ。だから、私がこうして贈物を持って参上したのだ」
呂布の顔が徐々に微笑みに変わって行く。李粛はそんな呂布をみて「かかった」と思った。
「で? その贈物は?」
「外にある。一緒に見に行こう」


「ったく、なんで俺がこんな馬の守をしなければならんのかね?」
『赤兎』の隣で若い兵士が溜め息をついた。
『おい、ひよっこ。腹が減ったぞ』
(ぶひゅん、ひぃひぃーん)
『赤兎』は鼻先で兵士を小突く。
「なんだ? やめろよ、痛いだろ。飯か? 腹減ったのか?」
『赤兎』の顔を優しくなでる。
『お! 話がわかるね。ひよっこ、お前少し気に入ったぜ』
(ひひひーん)
兵士の頬に頬をすり寄せる。
「はははは……、気に入られたのかな?」
兵士は飼い葉桶にワラを入れる。さっそく食いつく『赤兎』、そこに二人の男がやってきた。
「これだよ、赤兎馬といって、一日に千里を走るという名馬だ」
「……赤兎馬」
呂布は赤毛の馬に見とれた。筋肉が理想的についた足。りりしい顔つき。立派なたてがみ。
『なんだ? こいつは、今までの人間になかった、不思議な匂いがする』
鼻をピクピクと動かし、呂布の前に顔を突き出す『赤兎』。
それを見た李粛は驚きを隠せなかった。
(あれほど人に懐かなかった赤兎馬が、自ら呂布に頭を下げた)
「気に入った、気に入ったぞ赤兎馬よ」
呂布はその場で大声で笑った。
「どうだ、よかったら乗って見せてくれないか? こいつとんだ暴れ馬でな、まだ一人も満足に乗ることすらできていないんだ」
李粛は『赤兎』の守をしていた兵士に命じて、鞍をもってこさせようとしたが、
「鞍などいらん」
と、呂布は兵士をせいしてひょいと『赤兎』にまたがった。
『赤兎』は暴れる様子もなく、呂布を受け入れた。
『こいつだ、俺が乗せるにふさわしい。豪傑だ』
運命を動物的勘で感じ、『赤兎』も呂布を気に入ったのだった。


数日後、『赤兎』を得た呂布は丁原を裏切り、丁原を殺害。その首をもって董卓の元に下った。

〜続くかもね〜


赤兎馬 〜呂布との出会い〜の最初へ 赤兎馬 〜呂布との出会い〜 1 赤兎馬 〜呂布との出会い〜 3 赤兎馬 〜呂布との出会い〜の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前