結界対者・第二章-16
「生きているって感じるの!」
言い放ったその時、上空が二つに割れ、その間から巨大な何かが舞い降りて来るのが見えた。
しかも一つや二つではない、一…… 二…… 三…… 全部で四つ?
「行くわよっ、柊! 刻・縛っ!」
右手に赦しの短筒を握り、左手で銀時計をかざしながら間宮が叫ぶ!
「ま、間宮…… 四つも居る!」
舞い降りてきたソレは、巨大な鳥の様な生き物…… いや、忌者だった。
それが四体、時が止まった空に、互い違いの航跡を描きながらグルグルと旋回している。
「だから何っ?」
「応援とか呼んだ方がいいんじゃないのかっ? 居るんだろ、この結界にも対者がっ!」
「そんなの、居るけど居ないのっ!」
……え?
「説明は後っ! とにかく今、戦えるのはアタシ達だけっ!それより……」
旋回をしていた鳥の様な忌者達が、一列に並んで身構える様な気配を見せる。
「来るわよ!」
刹那、忌者達は直列に列び、かと思うや否や、こちらに向けて急降下を開始した!
「う…… おおっ、間宮っ?」
「風の塊をブチ当ててっ!」
「わ、わかったっ!」
来る、それらに風をブチ当てるイメージを!
突き出した右手から、風が生まれ瞬時に加速、迫り来る鳥の化け物を迎え撃つ…… が!
何だと……?
その鳥の化け物は、放った疾風を巨大な体の全てで受け流すと、勢いを崩さずに此方へとその双爪を向けた!
「柊っ、飛んでっ!」
「言われてなくてもっ!」
右へ間宮が、左へ俺が飛ぶ!
その狭間に、巨大な刃にも似た忌者の爪が突き刺さり、轟音と土煙を上げながら大地を引き割いていく。
そして、それは、二度!三度!四度!と続き、二人の立っていた場所を瞬く間に歪な荒れ地に変えた。
「間宮っ! 大丈夫かっ?」
「それはコッチのセリフっ!」
これだけを交した僅な間に、敵は反転し再び次々に襲いかかる!
今度は間宮の逃げた方向を見る余裕がない、とにかく夢中で飛ぶっ!
ズゴガガガガッ!
土煙と轟音、しかし先ほどとは違う、それらが晴れた目の前に俺と同じ様に地に伏せる間宮が居た。