世界の中でたたずむ、人-4
◆
思いつく限りを書き尽くした後、私はお風呂に入り、風呂場で大きな声で歌を唄った。
ACIDMANの知っている曲をわかる限り全て唄い、BUMP OF CHICKENの『アルエ』と『天体観測』を全力で唄った。 そして、『大きな古時計』を独唱し、また、思いつく限りのBUMP OF CHICKENの歌を唄いまくった。最後に鬼塚ちひろの『私とワルツを』を唄い、狂った様に涙を流した。
“泣いた”のではない、“涙を流した”のだ。
どちらかと言えば、受け身であったと思う。“流れた”の方が的確かも知れない。
そう。私に、涙が流れたのだった。
◆
長い時間をかけて涙が流れて、そして時折、嗚咽をもらした。
泣きながら彼の事を考えて、明日の天気について考えた。
晴れたらいいのに…
私は心底そう思った。
「そしたら明日も、あの台詞が聞けるのに」
湯船の中で、私はそう――呟いた。
◆ ◆ ◆
これは、私の話である。
恋の話にしては色気がないが、私の恋の話だ。
―――恋の話なのだ。