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甘辛ニーズ
【コメディ その他小説】

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甘辛ニーズ-5

 きっかけとは言いにくい様な気がしますが、やはりきっかけだったんです。

 去年の冬辺りでしたか。
 その時代の私は相当な…天邪鬼というか…ひねくれ者…いえ、おもしろくない女性でした。
 何がおもしろくないって、もう全体的におもしろくないんです。性格やら何やらが。
 友達との会話も弾まないし、積極的に行動しない上に、なにもかもを拒否していました。
 つまりそれは、クラスの仲間外れということで…。
 友達も離れてしまって、凄い孤独感&疎外感を感じましたね。
 ここなら普通はイジメとかあるのかなって不安になるじゃないですか。けど不思議なことにだーれも私の存在に触れてくれないんですよ。俗に言うシカトってヤツですか。
 こんな孤独が寂しいのなら、イジめてほしい。そう思ってました。あれ?今考えたらおかしいですね。Mですか私は。
 それで先生も気づいてくれなくて、相談する相手がいなくなってしまったんです。
 正確には両親がいたのですが、遠い実家にいるから、相談したらパニックになってしまうのではないかと思って、電話できなかった。
 寂しい寂しい寂しい。その言葉だけが頭の中でループして、自殺しようかと考えた時期もありました。
 …それでも、身体と精神は逃避してくれなくて。
 自殺しようって考える時には簡単ですけど、いざ自殺する直前になると恐怖心でいっぱいいっぱいになってしまうんです。…本当、人間は不思議生命体です。
 どうしても自殺できなくて、わんわん泣きました。犬の鳴き声じゃないです。人の泣き声。
 そんな状態の私はこんな独り言を叫んでいました。

『ふざけんな!なんで死なせてくれないんだよ!?くだらない世界にくだらない人間がいたってなんの意味も果たさないのに!!』

 …汚らしい口調ですが、大目に見てやって下さい。
 キチガイなんじゃないかってくらい、馬鹿みたいに叫んでました。
 たとえ近所に筒抜けだったとしても、目一杯叫んでました。
 やがて登校拒否になってしまい、家に引きこもってました。
 両親から仕送りしてもらってて、お金には困らなかったのです。
 勉強もしないで、遊んでばかりでした。

 少しの日日が経った時、こんな生活はつまらないと思っていました。
 だから試しに、一度だけ学校に行ってみようと気合いを入れてました。
 当日になってドキドキしましたが、ちゃんと教室に入ることができたのです。
 しかし、机は疎か私の道具とか、色々な物が無くなっていて…。
 もう全員に見捨てられたんだ…なんて思って、教室を出て屋上に向かいました。
 そりゃあやろうとしてることは一つですね。

 今なら自殺できる。そう信じて屋上のフェンスを力の限り上りました。
 けれども到着した際にすぐに飛び降りなかったのが間違いでした。
 下を見てしまい一気に心臓が高鳴り、息も荒くなり、大声で泣き叫びました。
『みんなのバカー』だの『先生死んじゃえー』だの『神様なんていらないー』だの…ワケのわからないことばっかり声に出して叫びました。


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