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甘辛ニーズ
【コメディ その他小説】

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甘辛ニーズ-4

 遂に本音を言ってくれた…。
 秀麻凪、只今感激中です!
 おおお、涙が止まりません!だめです凪!一生泣かないと決めたのに!
 だけど、涙が出ちゃう…女の子ですもの。
「ちっ、ちげーよバカ!」
「へぶっ!」
 頭部に衝撃がきました。痛い、痛いです。
「なっ、なんで叩くんですかあ!……は!もしかしてそっちのプレイ!?…愛の為なら…秀麻凪、やあってやるぜ!!」
「人の話を聞け!」
 ショウちゃんは本当に可愛い殿方です。



 ここはとある公園。
 夜になるとどことなくダークな感じの公園です。
 時には酔っぱらいのオヤジが寝ていたり、時には変質者が彷徨いていたり、時にはアベック共が草むらでアンアンしていたり…っと。なぜか下方向に向かっちゃいますね。
 ですが今日は、私達二人だけなのです。いやっほーい、ロマンティックー。
「…なにニヤニヤしてんだよ。気持ち悪いなあ」
 …ごほんごほん。自重します。

 ちなみに何をしに来たかというと…言わなくてもわかりますね。
「さ、早くやりましょうよ!」
「ああ…って……あれ見てみろ」
「へ?」
 指さす先は……えーとなになに…〔近所迷惑になるので花火禁止〕…。
「………」
「………」
「……そ、そこら辺のカップルだって、近所迷惑になる様な行為をしてるんです!別に花火くらいやってもいいじゃないですか!」
「…近所迷惑になる様な行為…?」
「っ…失言です…気にしないで下さい」

 とゆーワケで、規則を破ることにしました。
 …なんだかテロリストになった気分。

「…なんで最初っから線香花火なんだよ…」
「え?私が小さかったころは、初めに線香花火をするのが当たり前でしたけど…」
「…そうか」
 実際にそうだったんです。
 普通の花火を楽しんでから線香花火で終わらせると、憂鬱になっちゃうからって理由で。
 きっと私の両親は、ハイテンションのまま人生を楽しんでいたかったんでしょうね。今の私がそうである様に。
「…どうせなら線香の灯が落ちるまで、お互いの本音でも打ち明けましょうか。こんな空気ですし、ちょっとでも盛り上がっていかないと」
「…賛成」
「じゃあ、ショウちゃんからどうぞ!」
「ぼ、僕からかよ!?」
「私から言ったって、結局はショウちゃんも言うことになるんですよ?早い方がいいと思いません?」
「そ、そうかな…」
「そうですよ。ほらほら、線香花火落ちちゃいますよ」
「……」
 一回咳払いをして、ショウちゃんは喋り始めました。



「…凪にはさ……すっごく感謝してるんだ。あの日から…友達になってくれたあの日から、ずっと」
「あの日、ですか」
「うん。バカなこと言って励ましてくれたりさ、嬉しかった…」
「…あれは、励ましって言わない気がしますけど」
「どっちにしろ、僕にとっては充分励ましの言葉になってた」
「…光栄です」
 それから、ショウちゃんはいろんな思い出話をしてくれました。


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