『彼女が、』-1
七月の半ばの金曜日。
あくびをしながら、ボクは学校に来る。
肩に掛かったエナメルバッグには、教科書と弁当、あと部活で使うTシャツとか、いろいろ入ってる。
「重い・・・。」
息を大きく吐いて、机の上にバッグを置く。
席は一番後ろ。うん、いいポジションを取ったと、席替えから随分経つのに思った。
椅子に座って、ふと前を見た。
女の子が何人か、一つ前の席に集まっている。
そこにはいたんだ。
彼女が。
ボクは思った。
「・・・あ。今日・・・告白しよ。」
意味がわからない。
自分でもそう感じたけど、なんだか決意は固かった。
・・・まぁ、要するに。
朝、教室に行ったら好きな女のコが目に入って。
で、なんだか気持ちが抑えられなかった、というわけで。
完全に変な人じゃないか。
心の中で苦笑した。
ちなみに、ボクは今まで好きなコに「付き合ってください。」なんてまともに言ったことはない。
何で今日はこんなに強気なんだろ?
17才だからかなぁ・・・。
関係ないか。
その日は、別段いつもと変わらずに授業を受けて、部活もして。
‘‘例の彼女‘‘とも普通に話をした。
変なコト言ってないか相当心配だったけど、大丈夫だったみたいだ。
夜の七時過ぎ。
ボクは家でボケ〜っとテレビを見てる。
右手には携帯電話を持っていた。
「直接会って告白しろよ。」なんてよく聞くけど、
ボクも彼女もいろいろと忙しい。
学校じゃ無理だし、彼女の家も知らない。
・・・まるで言い訳してるみたいだな。
さて、ボケッとしてる間に八時近くになった。
完全に一人になるために、外へ出る。
そして彼女にメールを送る。