『彼女が、』-8
でも、涙は流れない。
いっそ、大声を出してずっと泣いていたかった。
でも、涙は流れない。
苦しい・・・
テレビか何かで、誰かが言っていた。
「泣きたい時には思い切り泣いておけ。大人になったら、泣きたい時に泣けなくなる
んだ。」と。
ボクの心境と、この言葉の意味は少し違うかもしれない。
でも、自分が中途半端に‘‘オトナ‘‘になってしまったように思えて、
また辛くなった。
目を閉じる。
意識もしないのに彼女の姿が浮かぶ。
ちょっとおどけたような笑顔の君が
ボクを見る。
ボクは
そんな君を
ギュッ、と
抱きしめることができない・・・。
あぁ・・・・・・
彼女が好きだ・・・・
end.