『彼女が、』-5
夕方の涼しい風を受けて、自転車を走らせた。
その風が心地よくて、いつもより遠回りをした。
家に戻ったのは、七時過ぎ。
たかだかDVDを返すのに二時間も掛けてしまった。
彼女からの連絡は、まだ無い。
夕飯も済ませ、部屋に籠もった。
今か今かと、ボクは携帯電話の画面とにらめっこしていた。
十時過ぎ。
メールが届いた。
彼女から。
「遅くなってゴメン!今電話しても大丈夫??」
ちょっと考えて、こう返事をした。
「俺が電話するよ。」
彼女の「了解」という返事を受け取った後、ベランダに出て電話を掛けた。
一昨日と同じように、彼女はすぐに出た。
「もしもし?」
第一声を発したのは、今度は彼女。
「もしもし、コンバンワ。」
「うん、コンバンワ。」
挨拶もそこそこに、彼女はボクの告白に対する返事を語り始めた。
「あの・・・三日間考えたんだけど、」
ボクは願った。