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晴れた日の、曇りガラス
【失恋 恋愛小説】

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晴れた日の、曇りガラス-1

二ヶ月ぶりに、くるみから連絡がきた。
「大事な話があるから、会ってほしい」
ただ、それだけのメールだった。

くるみと最後に話したのは、二ヶ月前。
俺が、他の娘と食事に行った事に腹を立てて、会社の同僚と飲みに行ったと聞かされて以来だった。

くるみとは、結婚の約束をしていたわけではないが、ヤキモチを妬いてしまった。

二人の仲は偶然の出会いから始まっていた。いつのまにか肉体関係にまで、発展していたので、「付き合ってくれ」と、言ったことはなかった。

くるみと、いつも待ち合わせをする公園の駐車場に行く。
・・・まだ、来ていないようだ。

いつもの場所に車を停めて、エンジンを切る。
地球環境に配慮したり、燃料の節約の為ではないが、窓を開けて木々のざわめきに耳を傾けた。

これから、くるみに何を言われるのか想像しながら、瞑想をしていると、一台の車が隣に停まった。

俺は車を降りると、たった今停まったばかりの車の運転席に近付いていった。

ゆっくり開けられた窓から除きこむと、すでに目を真っ赤に腫らしたくるみが、ハンドルを握っていた。

「久しぶりだね」

できるだけ、優しく声をかけると、くるみの目から大粒の涙がこぼれ落ちる。

「仕事は、忙しいの?」

明らかに元気のないくるみに、¨元気だった?¨とは聞くことはせず、いろいろ言葉を選んで話かけるが、一言も返事をしてくれなかった。
いくつかの俺からの問いがかけられた時、くるみが言った言葉は、

「赤ちゃんができたの・・・」

だった!!

会社の同僚と飲みに行ったあの日、ホテルまで行ったようだ。

俺は、今までくるみと生でやった経験は一度もなかった。
例え、くるみが¨安全日¨と自己申告しても、必ずゴムを着けていた。
もしも、できたときにくるみを幸せにする自信がなかったわけではないし、他に抱きたい娘がいた、・・・・・・わけでもない。

妊娠とは、大変なことだと思っていた。
自分勝手な快楽の為に、女性を抱くことはしないと、いつもくるみに言っていたが、くるみはそうではなかったようだ。

妻でもない女性を独占するつもりは、微尽もない俺だが、他の男の子供を妊娠した女に、これ以上の興味は湧かなかった。

「おめでとう。幸せになれよ」

俺は、くるみにそう告げると、自分の車に戻り、駐車場を後にした。

よく晴れた青空なのに、目の前が曇っていた。

その曇りは、ワイパーを動かしても、拭き取れなかった。


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