年上の事情。‐4-5
「五十嵐さん、僕に言いましたよね?
後悔してるんじゃないんですか?
‥素直に、気持ち伝えればよかったって」
なんて真っすぐな目をしているんだろう‥
全部を見透かされているみたいだ‥
そう思ったとき、あたしの目からは涙がこぼれた。
1年半前は流れなかった涙が‥
「あたし‥ごめんっ」
あたしはその場を立ち‥
横目に、立ち上がった立花くんを必死に押さえている香ちゃんが見えた。
まだあそこにいるはずだ。
あたしは走りだした。
はぁ‥はぁ‥
ミーティングルームは明かりがついていた。
涙で顔はぐちゃぐちゃなはずだ。
もう、
そんなのどうでもいい。
あたしはノックもせずに扉を開けた。
案の定、そこにはびっくりした顔があった。
「亜季っ‥?!」
「はぁっ‥っ、ずるいよっ自分ばっかり、‥っ、平気な顔して」
「ごめん‥」
片山はあたしをまっすぐに見ている。
「あたしの1年半っ返してよっ‥っ、ヒクッ‥知らないでしょっ?!あたしっ頑張ったんだからっ
アンタに追い付きたくてっ並びたくて‥っ!」
「ごめん‥」
「ヒクッ‥っなんで
‥なんで、あたしじゃダメだったの‥ぉ」
「ごめん‥ごめんっ‥!」
そう言って片山はボロボロなあたしを抱き締めた。
強く、とても強く――。