年上の事情。‐4-4
「顔は格好いいし、なんといっても次期社長だもんなぁ」
ん?
「え?」
あたしは思わず聞き返した。
「えぇっ?!」
あたしの反応に香ちゃんも聞き返した。
祝さんは気にせず続ける。
「えっ、だって片山さん、社長の娘と婚約したんですよね?!」
こん‥やく。
「えぇ?!」
香ちゃんがまたあたしの顔を見て言った。
「聞いてなかったんですか?片山さんから‥」
「へぇ‥。そうなんだ‥
ははっ‥」
笑うしかない。
どうやら、あたしが今朝鳴海くんを呼びに言っているときに話されたことらしい。
そうか、
そうなんだ。
1年半前、あたしとの道もあっただろうに。
現にあたしは仕事を辞める決意をしていたのだ。
片山は、
出世街道まっしぐらってワケか。
ふと気付くと、香ちゃんは涙目になっていた。
「どうして香ちゃんが泣くのさぁ」
頬がピクピクする。
「だってぇ。先輩、本当はまだ‥っ」
それ以上言わないでっ!
我慢してたものが溢れだしそうだった。
しっかりしなきゃ‥
「五十嵐さん!」
えっ?
顔を上げると、鳴海くんがあたしを見ていた。