年上の事情。‐4-3
「‥っ五十嵐さん?!」
立花くんだ。
座り込んでいるあたしの元に駆け寄ってきた。
はっと我に返りあたしは立ち上がる。
「大丈夫ですか?!気分でも悪いんですか?!」
「大丈夫!‥さぁ、仕事っ仕事っ!」
立花くんが何をしにきたかは聞かないでおこう。
今は、
しっかりしなきゃ。
仕事中なんだから‥
自分のデスクに戻ると、香ちゃんが心配そうに見ていた。
いつものように、
平気に、
仕事を始める。
そう、これでいいんだ。
「‥‥輩っ、先輩っ!」
あっ。
香ちゃんの呼び声にハッとさせられる。
香ちゃんの指差している先には6時を過ぎた時計があった。
はぁ〜‥
あたしは背伸びをした。
もうそんな時間か‥
「先輩、今日は飲みに行きません?ぱぁーっと!」
香ちゃん、気を使ってくれてるんだな‥
「そうだね!行こっか!」
あたしと香ちゃん、新人の3人。
他愛もない会話で盛り上がり、お酒をすすめた。
みんなの気遣いに感謝‥したいところだったんだけど‥ねぇ。そうもいかないんだよ、このメンバーは‥
そう、ちょっと酔い始めた祝さやか‥
「いや〜、でも格好よかったなぁ。片山さん」
ほらほら‥
あとから聞いた話だが、何も知らないはずだった鳴海くんも、この時点では何かを感付いていたらしい。
みんなが一斉に凍り付いたのがわかった。