年上の事情。‐3-4
片山は――あたしの7つも上である。彼の落ち着いた、大人の魅力にひかれていた。彼に釣り合おうと必死だった。
彼の異動が決まった時、あたしはひそかに仕事を辞める決意をしていた。彼について行こうと、彼と生きていこうと決めたのだ。
しかし、彼はあたしに別れを告げあっさりと1人で行ってしまった。
虚しかった。自分だけが必死でくやしかった。
それからあたしは辞めようと思った仕事に生きることに決めたのだ。
もう吹っ切れたはずだ。
広告部に戻ると片山がいる。きっともう普通の顔をして会えるはずなんだ。
1年半もたったんだ。
きっと、笑って――。