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記念日(6月12日Ver)
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記念日(6月12日Ver)-1

世の中には、記念日がたくさんあります。
みなさんはご存知ですか?
6月12日が何の記念日か…?


――6月12日日曜日――
「何なんだろう、一体…。」
う〜ん、と携帯と睨めっこをしながら考える。


俺、根岸拓海と嶋村鈴奈は付き合って3ヶ月になる。
とはいえ、付き合うきっかけが好きな男に振られた鈴奈に自分がつけこんで…という始まり。
そのせいか、正直後ろめたいというか自分に自信がない。
流されて自分と付き合っているんじゃないかな、とも思う。

それでも…そばにいてくれているっていうのに満足している自分がいる。
「…情けないけどねぇ。」
ポツリと呟く。
それだけ鈴奈に惚れている、ということ。


「どぉしよ、別れ話だったら。」
最悪な状況を考え、背中がブルッと震える。
立ち直れないかも、と小さくため息をつく。
(これから、少しだけ会いたい。5分で済むから。)
短い短いメール。


俺は、結構好き、とか可愛い、とか思ったことを言っているけど、鈴奈が俺に好き、と言ったのは付き合うきっかけになった1度きり。

彼女はあまり感情を表に出すタイプじゃないのは知っているけど、不安になる。
いつも学校から一緒に帰る。
週末は毎回じゃないけど、映画を観たり買い物に行ったりして過ごす。
毎回じゃないのは、鈴奈の重荷になりたくないから。
拒否されるのが怖くてキスも出来ない。
手もなかなか繋げない。
ホント、情けない。


――ピンポーン――
玄関の呼び鈴が鳴る。
はっ…として玄関に行き、ドアを開ける。
「……。」
俺が出てきたことを確認すると、不意に目を反らされる。
「どぉしたの?5分で済む用事って何?」

なるべく普段と変わらない口調で話す。
「……。」
答えが返ってこない。
やっぱり、別れよとか言われちゃうのかな?
「鈴奈?ここで話し難ければ上がってく?」

ぶんぶんと首を振る。
そして、鞄の中から四角い箱を出して
「これ、渡したかっただけだからっ。」
そう言って俺の前に箱を差し出す。
「…なぁに?これ?」
意外な展開にきょとんとしてしまう。
どうやら、別れ話ではなかったらしい。
心の中でほっと息を吐く。


「意味は…自分で考えてみてよ。」
ぼそっと言うと踵を返し

「明日、またね。」
と言って帰ってしまった。


玄関に取り残された俺は少しの間呆然としていた。
本当になんだったのだろう。
部屋に入って箱を開けると、フォトフレームが入っていた。
ますます解らない。
鈴奈は自分で意味を考えて、と言っていた。
ということは、何かこれに意味があるのだろう。
ハンカチを相手に贈るのは別れを意味する、とかネクタイを贈るのは相手を束縛したいという意味、というのは聞いたことがあるのだけど…。
「フォトフレーム…。」
パソコンに打ち込んでみる。

「商品案内ばっかだし。」
とりあえず今日の日付を入れて、再検索する。
「あ…。」
机の時計を見る。
鈴奈と別れてから30分経過していた。
慌てて鈴奈に電話する。


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