結界対者 第一章-17
俺から溢れる全ての風を集めて、目前に迫る敵にそれを叩きつけ、敵を消し去る……
それを、イメージする!!
「旋風桜ぁぁぁぁ殺す殺す殺す殺す殺す殺すうっっ!」
敵が、叫び、来る。
「殺すっだぁぉぁぁあ殺すぅこぉろぉすぅ!」
忌者の拳が光る!
先程の閃光、一撃で地を割った踏み潰しの重鋼の光りが迫る。
だが、間宮の様に、それを鮮やかに舞い上がりかわす事など俺には到底無理だ。
だから……
正面から、死力を尽して……
そいつを!
風で!
叩き!
潰す!
「行けえぇぇぇっ! 俺の…… 俺の旋風桜ぁぁぁあっ!」
不意に突き出した拳は風を纏い加速!
その加速は更に風を重ね纏い、目前に迫る的に向かって更に疾る!
巨大な閃光……
そして、巨大な疾風……
限界を越えた二つの強大な力が、互いに真正面を捉えて疾駆する。
瞬間!
それらはぶつかり、生まれた激しい衝撃の波に、俺は耐えきれず吹き飛ばされた……
激しく、白く、光に飲まれる……
……気が付くとそこは先程の、旋風桜の大木の公園だった。
公園を囲む様に立つフェンスの際で、無様にしりもちをつきながら、背中に金網を背負う姿勢で俺はそこに居た。
所々破れた制服に、直前の激しい衝撃を思い出し、そして敵を思い出す。
やれた…… のか?
目の前からは、忌者と呼ばれたその敵の姿は既に消えていて、ただ明けもどろの静けさにも似た空気が、間宮が停めたという「流れない時の流れ」の中で漂っている。
……そうだ、間宮は?
気が付いて見回す、すると彼方に、地に伏せたままの傷だらけの少女の姿が、まるで棄てられた空き缶の様に転がっているのが見えた。
「間宮っ!」
言葉よりも先に駆け出してしまう。
そして辿り着き、その肩を掴み、ただただ力任せに揺さぶる。