結界対者 第一章-15
「さあっ! このまま、真っ二つだぁっ!」
忌者が再び喜々として叫ぶ!
間宮……っ
『助けて、あげなくちゃ、ね?』
その時、不意に頭の中に声が響いた。
この声は……
お袋?
瞬間!
胸の奥が音を立てて波を打ち、俺は……
何かが、足元から流れ出るのを感じた。
あの時と、あの教室の時と同じ様に……
また…… だ?
風……
風!
あの時の風が、再び足元から吹き、勢いを増し渦を巻き、俺の周りを駆け巡る!
力がみなぎる!
先程は解らなかった、しかし今は解る!
『その力はアナタの意思に忠実』
間宮の、先程の言葉が胸をよぎる。
俺の意思……
俺の……
風がみなぎる!
そして、俺は……
空を睨み、忌者に叫んだ!
「そこまでだっ! 化け物っ!」
「……柊っ?」
「なんだぁ、テメェはっ………」
助ける! 間宮を!
だから風よ、俺の風よ!
このまま……
このまま、空高く吹き荒れろっ!
巻き起こる旋風は地を震わせ、轟音を散らしながら激しく、更に激しく!
俺は今、風を手に入れた。