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嘘さえ愛しい
【エッセイ/詩 恋愛小説】

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嘘さえ愛しい-1

思い返せば
ツライ事ばかりだった。


デートすっぽかされるし
女にダラしないし
気持ち一方通行だし…



なのにあたしは
未だアンタに恋してる。




面倒くさい奴だった。

携帯は繋がらないし
行動範囲は広いし
常にフラフラしてるし…


どーしようもない奴だった。




どーしようもない奴だったけど…

たまに優しかった。
頭をなでてくれた。
あたしを…『好きだ』と言ってくれた。




分かってたけどね、嘘ってことは。



そのセリフを
その温もりを


アンタはきっと
何人もの女に提供してたんだろーから。




ホント、
どーしようもないクズ野郎。





なのにあたしは



アンタの小さな優しさを知ってるから



嫌いになんか




なれないんだよ……





アンタの数知れない彼女の一人だった時はさ、
ホントにツライ事ばっかだったけど



アンタと一緒にいるときだけは
ホントのホントに幸せだったよ。


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