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箱庭
【ファンタジー 官能小説】

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箱庭-3

【あなたの見たい夢が見られます】

雑誌の広告が頭から離れない

【実際にやったらアブナイことも、夢の中ならOK!】

私は起きると明かりをつけて雑誌を引っ張り出す

料金は5千円

私にとっては大金だが、話の種に。とにかくこの頭のモヤモヤをすっきりさせる為にはどこかで痛い目を見て醒まさせる必要があると自分に言い訳をした

直接家に送られるのは嫌なので郵便局窓口受け取りの代引き小包に指定してパソコンのメールで注文する

ようやく落ち着いたのか急に眠気が身体に沁み込む様に襲ってきた

その晩、私は夢も見ないで眠った

今日の私は一日中そわそわとして落ち着かない

朝、パソコンのメールを見ると、今日の夕方に指定した郵便局に荷物が届くと返信が届いていたからだろう

すっかり雑誌をゴミ箱に捨てることを忘れていた

授業が終わると急いで指定した郵便局に受け取りに行く

窓口では五千円プラス手数料に気後れするが、払って荷物を受け取る

書類用のB4判茶封筒中には硬い板が入っている

(こんなのに五千円…)

釈然としないものを覚えながら鞄に押し込むと家に帰る

開けて中のものを出すと硬いダンボールに挟まれた白いボール紙が数枚と、説明書のコピー用紙が一枚出てきた

説明書の内容を掻い摘むと

【1の紙の線に従って切り取り、箱を作ってください―

【残りの紙であなたの望む場所や物を書いて切り取り、箱の中に飾りましょう―

【上手下手は関係ありません。心を込めて作ることが肝心です―

【出来上がった箱を枕元に置いて眠りましょう―

【あなたは箱の中に入りあなただけの世界が広がります―

ふふ、騙されたわ

私は自嘲の笑いを漏らすと、鋏で紙を刻み始めた

出来上がった箱は二十センチ四方

そこに残りの紙で街灯・ベンチ・植え込みを作る

一時間掛けて出来上がった公園は自己嫌悪になるほど下手糞だったが、心を込めたつもりだ

その日の晩、早速枕元に置いてベッドに潜り込む

こんなので本当に見れるわけが無い。せめて公園に関係ある夢でもみたいものだ


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