『イジワルな彼〜出会い〜』-1
私、入社したばかりの小山穂香22歳。
ずっと憧れだった芸能界で働ける様になってハイテンション気味!
ーといっても、アイドルでも歌手でもなく、マネージャーなんだけど。
でも『もしかしたら芸能人と……★』なーんて淡〜い期待とかしちゃったりして♪
ーさて私の記念すべき初担当が新人俳優《嶋田ヒロ》
まだ無名だけど、社長(オカマちゃん)一番のイチオシ‥らしい。
そんな大切な戦力をナゼ素人同然の私が担当するかだって?それはうちの会社が弱小プロダクションで、社員は私を合わせてたったの5人。でも採用してくれたのはこの会社だけだし…
“あぁ〜どうか(カッコよくて)イイ人であります様に!”
ーーガチャーー
社長に連れられてきた嶋田ヒロを見た瞬間、空気が変わった。
“‥カッコイイ。やっぱ芸能人になる人は違うなぁ”なんて考えてたらーー
[チョット!男に餓えてるからってアタシのヒロに手ぇ出したら殺すわよ!?]
[!!‥な、何言ってんですか!?止めて下さい!別に私は…]声が裏返る。
“さすがオカマちゃん。女心を解ってらっしゃる。恐るべし!”
するとーー
[社長、お遊び感覚が抜けてないヤツがマネージャーなんて迷惑なんスけど。]
ムッ!!
[ちょっ‥!それ、どーゆー意味‥]
[それにオレは仕事に来てるんで。]
[私だって、仕事しに…]
[本当に?俺にはそうは見えなかったけど。]
“‥く、悔しい。確かに私、ミーハー心があった。でもそんな言い方しなくたって…”
[小山穂香です!一生懸命頑張りますのでよろしくお願いします!!]
[“一生懸命”ねぇ。だったら一本でも多く仕事取ってきてよ?]
明らかに無理だと決め付けている。
“負けてたまるかぁ!”
[もちろんです!‥一週間時間を下さい。バンバン仕事取ってきますんで!]
[‥ちょっとアンタ!変な意地張ってんじゃないわよ!]
[社長、大丈夫です!体力には自信があるんで!‥それと嶋田さん、私が一本でも仕事取ってきたらマネージャーと認めて下さい!!]
[…取ってきたらね。じゃ、俺帰ります。]
“〜〜何よ、あれ!ちょっとカッコイイからってさっ!そりゃ私も悪いカモしれないけど…。よーし、見てろよ!嶋田ヒロ〜!!”
それからというものの、私は必死で《嶋田ヒロ》の売り込みに時間を費やした。ーしかし、現実は甘くなくて。無名の新人なんて相手にされない。
“あーん、どうしよう‥もう一週間経っちゃうよぉ…”
ー♪♪♪♪ー
[はい〇×事務所です]
電話はドラマのプロデューサーの佐々木からだった。
[‥ドラマですか!ありがとうございます!是非ともよろしくお願いします!!]
[ちょい役だけどさぁ、セリフも一応あるしぃ。美味しい話でしょ?でも、穂香チャンが俺とデートしてくれたら‥ね。どう?今日メシでも。]
[えっ…]
[じゃーこの話は無かった事に‥]
[まっ、待って下さい!…行きます。是非行かせて下さい。‥はい、△▲ホテルのラウンジに8時ですね。分かりました。では、失礼します。]
“約束しちゃった。‥どうしよう。でも、ドラマだし。少し位なら大丈夫だよね…”
ホワイトボードに《小山,▲△ホテルにて打ち合わせ,直帰》と書き込み、いざ出陣!!
ー約束の時間10分前に到着。佐々木さんはまだ来てないみたい。
“あぁー着いたはいいけど、やっぱ怖いよぉ”
入口前でウロウロとしているとー