僕らの日々は。〜僕と彼女と食パンと〜-2
「……で、それがどうしたのさ?」
「もしアンパンの人みたいにカレーとか食パンも同じ事をするとするわよ?」
「まぁそりゃパンっていう特徴を生かす唯一の機会だしね」
「アンパンとカレーパンはまだいいわよ?…問題は食パンよ」
「何がさ?」
「さっき自分で言ってたじゃない。想像してみなさい!」
―――――――。
――――。
――。
今、僕は死にそうだ。
道に迷い、食料は底を尽き、喉もカラカラだ。
そんな時颯爽と現れる食パ〇マン。彼は自分の頭をちぎり、
『僕の顔をお食べ』
と言いつつ生の巨大食パンを差し出す。
ありがとう食パ〇マン!
漢だぜ食パ〇マン!
うん、この何とも言えない柔らかい食感…そしてこの素朴なシンプルな塩味……うん、シンプルな……………………。
……飽きて来た……。
というか口の中がパサパサして来た……ヤバイ………喉が……せ…せめて水…み……ず……………。
――。
――――。
―――――――。
「どうだった?」
「逝ったよ………」
「はぁ?」
「あ、いや……確かに緊急時には来て欲しくないな」
水分補給無しにあんな巨大な味無しの食パンを食べるのは至難の技だと思う。
「でしょ?でもなぜかアイツが一番モテるのよ。謎よね」
といってもドキ〇ちゃんだけなワケだが。
「まぁ紳士っぽいしね」
「春風も自分の顔を相手に分け与える、くらいの事ができるようになればモテモテになるかもよ?」
「……現実にそんな奴いたら間違いなく化け物だよ」
「そう?面白いと思うけど」
「そりゃ面白いかもしれないけどそれ以上に恐ろしいよ。都市伝説になるって」
『怪奇!!顔を喰わせる男』
という見出しが頭に浮かんだ。
…う〜ん、B級ホラーの匂いがする。いや、むしろコメディーか。