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伝えたい気持ち
【学園物 官能小説】

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伝えたい気持ち-6

「やべぇ、もっと色彩コントラストの勉強必要だろ、俺」
とか独り言を言いながら、今俺は某有名美大に入るため猛勉強中。
俺は髪をバッサリ切り、ユウ…いや、茜のような黒髪にした。
ヤリ友女達とも一切縁を切ったしな。
もう一度、絵を描いてみようと思った。

あの日―――――ユウこと茜は、あの家にいなかった。
とかいうより、「家」がなかった。
ポストには督促状みたいなもんが詰め込まれてて、家も車もぜーんぶなかった。
ボーゼンとしてたら丁度近所のおばちゃんが通ったから聞いてみた。
「狭山さんの旦那様の不渡りで、一家バラバラみたいだけど」
なんでも、茜の家は結構な地主だったそうだけど、茜の親父の事業展開から凄い勢いで傾いて、結局こうなった…と。
俺は嫌な予感がして、ソッコーで茜に電話した。
マジで…つながってくれ…頼むから…
神頼みするしかなかった。
「はい」
出た!連絡がとれた!
「も、もし!ユウ?俺だけど今どこいんだよ!」
「・・・はぁ?プリペイドを公衆トイレに置きっぱだよ、あんたの彼女―」
どこかの女がどこかの公衆便所でプリペイドに出たらしい。
俺は、呆然とするしかなかった。

ユウは最後に、自分が茜なんだってこと、俺に伝えてった。

『海を見て涙が出ました』
俺が描いたあの絵も、ちゃんと覚えててくれたんだ。

俺が狭山茜を恨んでることも、知ってたんだろーな。
だからユウって名前を使って、俺に会いに来てくれた。

そして俺達は愛し合った。


まぁ、今俺は美大に入る勉強でいっぱいいっぱい。
でも美大は絶対入んなきゃなんねーんだ。
それは、ユウが何でおれにひまわりの絵を託していったかっていう、謎が解けないからでもあり。
俺にまた絵を描いてほしいっていう、メッセージだったのかとか。
いや、何気にフツーに美大で再会しねーかなとかいう下心でもあり。
とにかく俺は、「ユウ=茜」にもらったひまわりの絵がある。
その絵に隠された、あいつの伝えたい気持ちを、最大限に読み取って、また一歩、前に進まねーとな。


今日も真っ直ぐな日差しが降り注ぐ、そんな八月の一日。
俺は真っ白なキャンバスに、ひまわりを描き続ける。


FIN


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