年上の事情。‐2-2
「先輩、あれから全然好きな人いないんですか?」
「ゴホッ!…っ何?急に」
急な質問にあたしは飲んでいたコーヒーでむせてしまった。
「だってぇ‥どれくらいですっけ?‥片山さんと別れてから‥」
久しぶりに聞いたな、その名前…
「あー‥。1年‥半くらいかな」
「あたし、心配してるんですよー。あれから先輩仕事頑張りすぎなんじゃないかって‥」
「なーに?あたしが仕事、頑張っちゃいけないの?」
あたしは笑って答えた。
ちょっと頬がぴくぴく動いた。
片山――。あたしが前に付き合っていた男の名前である。
あたしよりも7歳上。同じ会社の先輩だった。片山の支社への異動に伴い、あたしたちは別れた。
あれから1年半――。
「はやいなぁ‥」
あたしは呟いた。
「先輩に‥早くいい人できるといいなぁ」
「あたしの心配はいいから、香ちゃんは自分のことを頑張りな〜」
「はーい。
あ。あたし昨日思ったんですけど‥
祝さんは、絶対鳴海くんが好きですよね」
お。香ちゃんも思ってたか!
あたし達の会話はいつもこんな感じである。
次の日――――‥
こんなにも早い展開があるものだろうか。
あまりの集中力のなさにどうしたものかと、あたしと香ちゃんは祝さやかをお昼に誘ったのである。
「その元気のない原因は何?」
あたしはストレートに聞いた。
朝から祝さんはボーッとして仕事が全然手に付いてなかったのだ。
「…昨日、鳴海くんに告ったんです」
はぁ?!
はやいな‥
あたしと香ちゃんは顔を見合わせた。
「歓迎会の時に家まで送ってもらって迷惑かけたから…お礼しようと思って…」
祝さんは続ける。
あたし達が彼女は鳴海くんを好きに違いないと思った歓迎会で、彼女は酔っ払い一人で立っていられないほどになったのだ。