からすの飛ぶ空【見通し編】-1
先月の事件も、やはり解決には至たりそうもない。
私は毎年起こるこの事件を別の視点で見ることにした。
―犯人の視点
犯人の動機、殺害方法、行動など。自分が犯人になりきって調べるのが今回の仕事だ。
これまでの事件で犯人についてわかっている事は、
・決まった時期に一人殺す。
・無差別で殺された人に共通点は無い。
・被害者は身元が分からない程酷い殺されかたをしている。
しかしこれ等では、犯人を特定する事は無理だ。
ニュースを見る限りじゃここが限界だろう。
でもこの事件は、友人からの情報で輪郭が浮かんできた。
警察の調べで、殺されたのは現場付近の学校で行方不明になった少年。
現場にはこれまでと同じようにメモが残されていた、それが少年のノートの切れはしと合った事からそうしたようだ。
死体の詳細は不思議なものだった、血まみれの死体が発見されたのは3月25日死亡推定時刻は3月20日血が飛び散ったのは3月25日。
別の場所で血を抜き取って保存し、死体を刃物で身元が分からなくなるまでズタズタに切り刻み、5日後人目のつく場所に死体を運び血を撒いた。
こんな仮説をたてたが、少年は3月23日バス内で目撃されていた、これでは仮説は成り立たない。
これまで同様警察を欺くものだ。
しかしこれを一転させる情報があった、メモの内容だ。これまでは公表されたり聞く事は無く、警察が保管していたものだ。
メモの内容。
少年は躓いた事をきっかけにメモをとりはじめた。
メモは二日に渡って書かれていて現場に行こうとしたところで終えている。
メモ一日目、
朝、おそらく登校途中に躓く。
下校時、バス内にて途中経過。(警察の調べで、バスに乗った客が少年を目撃。3月23日)
メモ二日目、
ニュースを見て昨日坂に死体があった事を知り、確かめに向かった。(しかしニュースになったのは3月25日)
矛盾だ。
死体が発見されたのは25日。しかしメモでは23日にに発見されている。
どちらかが間違っているならば、もちろんメモの方だと思う。
でも、もし仮に警察側が嘘の情報を流しているなら。死亡推定時刻、情報規制も出来るだろう。
私は少年の残したメモを信じる事にした。