手紙〜親愛なる貴様へ〜-2
「母さん、私…どうしたらいいの?」
母は私の首元に荒々しい息を吐きかけながら答えた
「こうなってしまったからには、もうあの人は帰ってこないわ。自首しましょ?私もついていくから。………ね?」
私が…自首……!?
いやだ……捕まりたくない…
その時、私の中の何かがプツンと切れた。
「私…自首なんかしない……。」
「えっ、何を…言ってるの?」
私は私を締めつける母を払いのけ、押し倒した。
「私は何も悪いことなんてしていないの。悪いのはあの男……。」
母はビクビクしながらも、私を悲しい目で見つめた。
「だけど、あなたはあの人を殺したわ!!それはいけないことなの!!」
そう言って母は抵抗した。私は負けじと強く抑えつけた。
「まだ言い終わってないわ!!母さん、アンタも悪いんだ!!あんな男を連れてくるから……」
「何が言いたいの!?ユキ!!」
「何も言うことなんてない!!私は……。」
………………。
私は何かを言いかけると、急に意識が遠くなった。目の前がクラクラして、そのまま床に倒れた。
かすかに意識が残る中……
私のどこかから笑う声が聞こえた
「大人しく自首すればこうならなかったのに……バカな娘ね……。」
ワタシガヤッタトモシラズニ………
《拝啓、母さん
お元気ですか?
今日、私は外の世界に出ます。あれから私は随分と歳をとりました。
当たり前ですよね。人を殺したんですから…。
追伸、この手紙を受け取る頃、私はあなたの元に着く予定です。私の部屋を用意頂きますか?よろしくお願いします。
あなたの娘、ユキ…》
【完】