溝-1
気がついたら、もう5時だ。
今日も一日、何をしていたんだろう?
朝、起きて、ごはん、食べて、ごろごろして、ぼーっとして、薬を飲んで…。
いつもと全く変わらない、か。
こんなことを考えても、意味が無いことは充分わかっているのに。
わたしはいつ死ねるの?
かちこちかちこちと時計が鳴っている。
うるさい。黙れ。止まれ。
それでもかちこちかちこちと鳴り続ける。
わたしは時計に向かって、近くにあった××××を掴んで思いっきり投げた。
…馬鹿みたい。
だって、馬鹿じゃない?
音がうるさいからって、物を壊すんだよ?
わたし、相当な馬鹿ですね。
濁る涙を流しながら、笑ってやった。
あは、ははは、あはははははははは。
きぃちゃん、今日も来てくれないかな…。
…何を考えているんだろう。わたしって本当に馬鹿。
きぃちゃんのことを考えると、胸が締め付けられて苦しくなるのを知っているのに。
わたしは愚かな人の例ね。
…きぃちゃん、きぃちゃん、きぃちゃん。
寂しくなんてない。ないけど、悲しいだけ。
だから感情を抑えても、代わりに涙が溢れてしまうだけ。
涙は、もっともっと温かい雫だと思ってた。
氷水のような冷たい雫だとは思ってなかった。
わたしの温かい部分は、一体どこに消えてしまったの?
鬱病と知らされてから約一年。
どんなことがきっかけで鬱病になったかはわからない。
ただ一つ、言えるのは───
…ピンポーンって、聴こえた。
きぃちゃんなのかな。
…また、聴こえた。
続いて、ドアをノックする音と同時に声が聴こえた。