溝-4
ねえ、きぃちゃん。
「なに?」
昔みたいに、志宇って呼んでくれる?
「……それは……」
迷惑かけちゃうけど、お願い。
少しでも幸せな気分に浸りたいの。
「………」
沈黙の後、きぃちゃんはわたしを抱きしめてこう言った。
「志宇、大好きだよ。一生、生涯、いつまでも、大好き」
その言葉が引き金となり、スイッチが入る。
きぃちゃんの胸の中で、わたしは三つのセリフを幾度も繰り返した。
死にたい
死なせて
終わらせて
狂ったように叫んだ。
ばらばらに砕けた時計と、その元を作った、壊れたケータイが床に散乱している。
きぃちゃんにメールできなくなっちゃったな…。
わたしは何をやってるんだろう?
きぃちゃん、寂しいよ………。
やっぱり涙は冷たかった。
ただ一つ、言えるのは
絶対零度の中では確実に人間一人じゃ生きられないということ。
今更だね。きぃちゃん、ごめんね。