Boys, be brave!-5
「さ、さてと!続き続き!」
「委員長!」
言うつもりはなかった。
伝えずに、秘めておこうと思っていた。
臆病な僕は結果を恐れていたから、このままの関係でいいと思っていた。
でも、それはあまりにも衝撃的な一言で。
奥の方にしまっていた期待という想いが、その言葉に誘われて出てきてしまった。
「ぼ、僕!」
けど、いざ言葉にしようとした時、すべてが真っ白になってしまった。
それはまるで、気持ちだけを残したまま言葉を忘れてしまったかのように。
「三谷…くん?」
もう少し、あとちょっとで伝えられるのに、ちっとも喋られない。
今までの勢いはどこに行ったんだよ。
どこまで臆病なんだ僕は!
そんな情けない自分に嫌気がさして、僕は委員長から目を逸らした。
するとその先に、ボードに張り付けられている先月の学園新聞が見えた。
そしてそこに書かれていたある一言が、僕の目に入る。
―Boys, be brave!―
『少年よ、勇気を出せ!』
本来は未成年の喫煙や薬物への断りの応援として使われている言葉なのだけれど、それでも僕には、僕にとっては、違う意味で心動かす言葉となった。
「…ボーイズ、ビー、ブレイブ…」
僕は小さく呟いたあと、大きく息を吸い込んだ。
「委員長!…いや、中山理奈さん!ぼ、僕は…僕は!」
くじけるな!
勇気を出すんだ!
伝えるんだ!
この気持ちを!!
「あなたが好きですっ!」
、
、
、
、
、
、
「――で?そのあとは?」
ニコニコ顔で和也が僕の顔をのぞいてくる。
あの後の僕と委員長の変化にいち早く気付いたのがこの和也だったのが痛かった。
こうして、思い返すだけで恥ずかしくなることを教えなきゃならないのだから。