恋に恋するお年頃!?-4
「ひど…っ!私、そんなことしてません!」
確かに、授業中に本を読んだり、周りの友達と話をしたり…と、真面目な生徒とは決して言えないけど、悪いことはしてないということだけは胸を張って言える。
「ちょ…、どうしたの?メグ。」
急に大きな声を出した恵に驚いて、美智子が声をあげる。
それをきっかけに、佐藤は恵の席から離れていく。
「ううん。ごめん。なんでもない…」
あんなことを言われて気分悪くなったけど、カンニングを疑われたなんて周りに知られたくない。
その日1日、恵の気分は晴れることはなかった。
『1年D組、小谷恵。至急、進路室佐藤まで……』
あの日以来、恵は佐藤を避け続けていた。
それなのに、この放送。
美智子、雅美と共にお弁当を食べていた恵は、無視をしようと聞こえていない振りをしたが、
「メグ、呼ばれてるよ?」
「何かしたの〜?(笑)」
なんて、ふざけ半分で2人がからかってくる。
こんな風に言われちゃ、聞こえていない振りを続けることは不可能。
「はぁ〜、……ちょっと行ってくる。」
机に広げていたお弁当を、手早く片付けると恵は教室を出て行った。
コンコン。
「失礼します。」
進路室に入ると、佐藤はもう昼食を食べ終えたようで、机の上には、コンビニの袋とコーヒーの入ったカップが置かれていた。
「何ですか?」
恵はわざとぶっきらぼうな声を出し、不快感をアピールする。
「悪かった……っ!」
突然、佐藤が頭を下げた。
「ちょっと!?先生……?」
佐藤に対して怒っていた恵も、この行動には驚き慌ててしまう。
「お前が俺のことを避けてるのは、鈍感な俺にだってすぐにわかる。……」
佐藤が話を続けようとするが
「ぷっ!」
突然、恵が吹き出した。
「あっ!ごめんなさい。どうぞ、続けて?」
「……なんで笑ったの?」
訝しそうな顔をしながら、佐藤が尋ねる。
「だって、自分のこと鈍感だなんて言うから(笑)」
お腹を抱えて笑いながら恵が答える。
2人の間の気まずい空気が、少し和んだようだ。
「鈍感なのは自覚してるんだ。そのせいで、たくさん失敗もしてきた。」
教師としての佐藤の姿からは、想像ができない言葉。
でも、そのギャップがまた可笑しい。
「あの時も、深くは考えていなかったんだ。いつも授業を聞いていないお前が、高い点数を取っていたからただ単純に疑問に思って……。」
佐藤は恵と視線を合わせず、しきりに首の後ろを掻きながら話す。
そんな姿も、普段の佐藤とは違う。