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闇の飛行士
【戦争 その他小説】

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闇の飛行士-1

いつまでたっても、真っ暗で何も見えない。
もう、何時間たっているのだろうか?彼はまだ、闇の中から抜け出せなかった。
計器の光る微かな光だけが、彼の周りをほのかに照らしている。
燃料計は壊れてしまったのか止まったままで、残りの燃料はわからなかった。
もう何時間もの間、まるで時間が止まったような変な気分だ。
北も南もわからない中を、ずーと飛び続けている彼は、ただ、この闇が終わってくれるのを祈っていた。
考える時間だけは、有り余るほどあった。
彼はエンジン音をたなびかせ、いつ終わるとも知れない闇の中を飛び続けていた。





かつて仏教では、人生の殆どは闇だと言っている。人は死に、闇の中をさ迷い転生し、再び光の中で短い一生を過ごす。
人生とはその繰り返しで、その殆どは闇だと…
もしかしたら彼は、そんな闇の中を飛び続けているのかも知れない。

記録では1943年2月、鹿屋空の零戦1機が行方不明になっている。だが、真実を知っているのは闇だけだ。






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