罪と罰-3
− 確か同じクラス…? −
「えーっと…」
「だよね。このみ。宮前このみです」
「宮前さん?何か?」
「…あのね。泉ちゃんが教えてくれたの。話してみるといい子だから、って。前からずっとお話したかったんだ」
「…?なんであたし?」
「えへへっ。星夜くんと仲良いから」
「え?」
「気を悪くしないでね?あたし、星夜くんが好きだったの。好きって言っても、憧れに近いのかな。ホラ、星夜くんって皆に優しいじゃない?スポーツ万能で頭良くてかっこよくて。真面目なタイプなのに、ちょっと感じの違う川上さんと仲が良いよね。星夜くん、川上さんにはすごく優しい目って言うか…。特別なオーラで接してるから。ずっと不思議だったんだ。最初は、羨ましかった。傍から見ても星夜くんに大事にされてるあなたが。でもね。だんだんそれが2人を応援って言うか…。偉そうだけど、見守るみたいに2人を見てた訳。とっても素敵よね、あなた達」
彼女は一気に話し終えると、黙ってしまった私を見て焦ったように言った。
「あっ、違うの!ごめん、あたしすごい失礼な事ばっかり言ってる…」
「…っあはははっ!嫌いじゃないよ、正直な子」
「ごめんね?でね。良かったらお友達になってくれない?」
「いいよ?でも、星夜が好きならあたしとは…」
「違うのっっ!今は何て言うか…。2人の事が好き…?」
「ぶはっ!あんたおもしろいね?天然って言われるでしょ?あたし、女の子に興味はないよ」
「ちがっ、そう言う意味じゃなくてっっ…」
「冗談だって。よし、友達になろ、このみちゃん」
「もー、からかわないでよー!」
「さくら?」
「あっ、もー!遅い」
「ごめんごめん。宮前だっけ?仲良かったっけ?」
「「今なったのさ!」」
このみと声がハモった所で、私達は微笑み合った。
「へー。残念ながら、うちのお姫様は返してもらうよ」
「どーぞどーぞ、王子様。じゃあまたね、川上さん」
「いーよ、桜で。またね」
宮前このみ。すごく可愛らしい子だ。泉と少し似ている。
− 仲良くなれそうだな −
しかし、私はまだ気付いていなかった。彼女が運んでくる、破滅の運命に…。
前編、了−−