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年上の事情。
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年上の事情。‐1-1

カシスオレンジ。
な〜んて、前はかわいらしくいってたっけ。

今は
とりあえずビール。
それから‥


「おい、五十嵐!水割りっ!!」
酔っ払い部長が空になったグラスをあたしに差し出す。

はいはい‥

今日は新入社員歓迎会。
すっかり焼酎派になったあたしは、先輩達や部長の相手をする。

反対では香ちゃんが新人達と騒いでる。

いつからだろうか。
お酒をまったりと、ゆっくりと、飲むようになった。


「五十嵐さん、飲んでますか?」
スポーツマン系新人の立花くんがやってきた。

「うん、まぁまぁ。立花くんも焼酎?」

「はい、お願いします。‥五十嵐さん、お酒ダメなんですか?」

「そんなことないよー。大好きだよー」
立花くんの水割りを作りながらあたしは答えた。

いかにもお酒が強そうな彼は大学時代に鍛えられたんです、と顔色ひとつ変えずに焼酎を飲んでいる。

「あたしも若いときは記憶なくすくらいガンガン飲んでたんだけどなぁ」
思わずしみじみなってしまう。

「いやいや、五十嵐さんも若いじゃないですか!そんなに歳変わらないじゃないですか!」

ありがとう、立花くん。
嘘でもうれしいよ。
22歳と26歳…。その差は4つでも、この間まで学生だった人間と社会人6年目の人間とでは全く違う。びっくりするくらい違う。


「あ〜っ!ずる〜い。あたしも入れて下さいよぉ」
香ちゃんがあたしと立花くんの間に割って入ってきた。

そういえば香ちゃん、立花くんを狙ってるんだっけ。かわいいよな〜素直で。


かわいいと言えば…
あたしの癒し系、鳴海くんはどこだ?

お、いたいた。
顔を真っ赤にしてカクテルを飲んでる。またしても、異性をかわいいと思ってしまう。
鳴海くんの隣にはもう一人の新人、祝さん。酔っているのか、目をトロンさせて上目遣いで鳴海くんを見ている。

ほーっ。なるほど。
この歳になると人の心情が分かるというか、誰が好きなんだろうなとかが分かってしまう。それぞれの矢印の向いてる場所が。


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