年上の事情。‐1-3
「どんな人がタイプなんですか?」
「あたしはねぇ、男くさい人がいいな。熱い人!…先輩は?」
立花くんの質問に香ちゃんが答えた。
「あたし?あたしは…
自分よりしっかりしていればいい‥かな」
「なんか、先輩‥
あたしもそういう人がいいなって思いますけど、先輩が言うとなんかリアルですねぇ」
「歳重ねていろいろ経験してきてるからねぇ、現実的になるよね‥」
わざとしみじみと香ちゃんと遠い目をしてみせる。
そんなあたし達のやりとりには気をとられず、立花くんはさらにあたしに質問をした。
「それって、年下でもしっかりしてたら可能性はあるってことですか?」
あー‥
考えたことなかったな。
「…そう、だねぇ」
「そっかぁ!」
立花くんは笑顔でそう言った。
ん?
立花くんは嬉しそうにしている。
あれ?
香ちゃんの眉がぴくっと動いた気がした。
あら?なんだこれ。
そう、
立花くんは目をキラキラさせてる。
香ちゃんの表情がさっきより暗くなった。
この歳になると人の心情が分かるというか、誰が好きなんだろうなとかが分かってしまう。それぞれの矢印の向いてる場所が――。
もしかして、
立花くんの矢印はあたしに向いているのか?!