いっしょに行こ-1
雨の日曜日、突然、俺の家のチャイムが鳴った
《ピーンポーン》
扉を開けたそこには、雨なのに傘も差さず、足は裸足で全身ずぶ濡れの遥が立っていた
『どないした!?入れよ』
だが遥は入ろうとしない、アパートの廊下にボーっとたたずんでいるだけだ。
『遥………なんか、あったのか?』
すると遥は微かな声で言った。
『★○◇▲★▲○…』
雨のざわめきでその声は全く聞き取れない。しかも遥の目は、まるで俺が透明人間にでもなったかのように、その焦点は俺を通り過ぎて後ろの壁を見ていた。
さすがに俺も、事の重大さに気付き遥に駆け寄り両手で肩を揺らしながら『お前、どないした?なにがあったんや!?』と問い詰めた。
すると遥は今度はまるで死人のような目で俺を見つめ、『私、さみしいっていってるやんか、だからね…』
そこまで言うと遥はおもむろに刃渡り30センチの刺身包丁をハンドバックから出し、うろたえる俺に『私、寂しい!一人で死ねへん……だから………一緒に来て?いいやろ?隆は、私の言うこと何でも聞いてくれたやん』とささやいた…
『ム、無理や!一緒には、は、い、い、い、行かれへん』そう叫ぶと俺は無我夢中で自分の部屋に向かって逃げようとした、そのとき!!
『そうかぁ………しゃあないなぁ………』
それが、俺が遥の言葉を聞いた最後だった………
俺は、背中から胸にかけて包丁で刺された…
痛みに苦しむなか、最後に見たのは………遥が自分の胸を、その包丁で刺すところだ………
完