reality ability‐第3話‐東の森、holy forest‐-9
「‥‥冥界の覇者にはなろうとはしてたわ。その時、私は興味もなかったし関係もなかった。ただ、知ってはいたわ。」
「‥‥‥」
那奈夜は少し悲しみが入った真剣な顔で喋っていた。その悲しさがカオスに対する忠誠心や同情したのだろう。
「カオス様の力は恐ろしく強かった。‥‥相手を完全に一撃で“死”‥いえ、無に誘ったわ。」
「!?‥‥待って!今、“死”と言わなかった!?」
突然、織音は驚きを隠せずに言った。
「え、‥ええ。確かに言ったわ。」
那奈夜は少し呆然とするが、言ったと答えた。すると、織音は真剣な眼差しで那奈夜を見つめ、ゆっくりと口を開けた。
「ま、まさかとは思うけど、カオスは突然‥‥そう、突然冥界に現れなかった?」
織音の声はほんの微かだが震えていた。何に対する恐怖なのか解らないが、それと同様に驚きもしていた。
「??‥‥何で知っているの?」
「知っているわよ!司義莉お父様が居なくなった理由なん‥‥っ!」
「!!」
織音の感情が抑えられない程、興奮した。これも珍しい事である。しかし、突然現れた謎の人物によって終わった。
その人物に驚いた那奈夜は思わず構える。謎の人物は謎の人物で気絶した織音を両手が抱き上げていた。
「‥‥何で“こっち”にいるの?」
「‥‥攻撃はしない‥‥。‥‥ただ、君が持っている“記憶の欠片”と彼女をセンターサークルに届けてほしい‥‥。」
木々の日陰でよく見えないが、謎の人物は那奈夜を攻撃する気は無いらしい。
数十秒間、那奈夜は睨むが謎の人物本人は言葉道理に攻撃はしないと解ったのか、構えを解いた。
「解ったわ。あなた‥何者?」
「‥‥残念な事に君のその問いには答えられないよ‥‥。‥‥それと、この事は内緒にしといてくれないかな‥‥。‥‥もちろん、理由は言えないよ‥‥。」
「‥‥‥。まぁ、いいわ。あなたの言う通りにしてあげる。あなたのその“力”は可笑しすぎる。」
「‥‥ありがとう‥‥。‥‥君が敵で悲しいよ‥‥。」
「なっ!‥‥ふん!行くから、さっさと渡しなさい!」
半ば強制的に織音を受け取り、歩いていく。‥‥織音が可哀想だったが、気にしない気にしない。
「‥‥‥‥。」
謎の人物は無言で少し笑い、その場から瞬時に消えた。
謎の人物により戦いの結果はよく解らないが、結果的には“記憶の欠片”は皇希に渡されるだろう‥たぶん。
また、四つの内の一つを手に入れた“記憶の欠片”。‥‥そういえば、形状は解らなかったが気にしない気にしない。その内、解ります‥きっと。
そして、謎の人物は一体‥‥?その目的とは‥‥?
続く