reality ability‐第3話‐東の森、holy forest‐-4
‐同時刻、復旧中の集神城‐
螺樹が椅子に座りながら、一枚の紙を困った顔で見ていた。そこには、
螺樹よ、皇希君の覚醒儀式中は織音を見張っておいてくれ。彼の邪魔をさせないように、常にな。
皇希君の様子はどうだった?少しでも可笑しな行動をしたら、皇希君自身から確かめてくれ。俺の名を出してな。
‥‥ついでに、司樹菜(しきな)の機嫌をよろしく頼む。
司義莉
と、書いてあった。
「ふぅ‥‥。少しは僕の気持ちを考えてほしいものですね。‥‥お祖母様はお母様以上に気分屋で嫌です‥‥はぁ‥‥」
「‥‥‥悪かったわねぇ〜。アタシは織音以上で?」「うわっ!!」
螺樹は椅子から落ちる。そして、ゆっくりゆっくり振り返る。大量の汗を流して。
そこには、織音の雰囲気を纏いながらも大人の優しさや落ち着きがある女性がいた。格好も織音に似ているが少し違っている。この女性が司樹菜だろう。
「司義莉からの手紙は?‥‥それにアタシの事は司樹菜と呼びなさいと言ったでしょう?」
「は、はい!」
螺樹は震えながらも紙を渡す。‥‥そんなに司樹菜の事が苦手なのだろうか?とにでも居そうな普通の女性に見えるが‥‥
司樹菜は紙を見ているうちに顔が変わり始める。
「ふふふ♪‥‥ついでに?アタシは司義莉を誰よりも愛してるのに?」
司樹菜の徐々に変わりゆく雰囲気に螺樹は、震えが激しくなり無言で涙目になっていた。
「ふふふ♪ははは♪あはは♪」
司樹菜のテンションが激しく上がる。織音以上に速い上がり方だ。いや、壊れたと言ってもいいのだろうか?
「‥‥‥」
螺樹は外に出ようと、出口へと静かに歩く。本当に苦手らしく、顔色が悪かった。
「螺樹?司義莉は何処かしら?」
しかし、司樹菜は見逃さなかった。螺樹は諦めたのか、顔色を更に悪化させながら答えた。
「‥‥知りません。僕はその紙の事しか‥‥」
「本当に?」
「ほ、本当です!」
司樹菜は螺樹を鋭い眼差しで睨むが、螺樹の真剣な答えで止めた。
「まぁ、いいわ。‥‥今は………いに来たのだから。………?」
「それなら………ですよ?」
声が小さく聞き取れなかった。
「‥‥本当に?」
「嘘は言った事ありますか?」
「‥‥ないわ。」
司樹菜はガッカリした。螺樹は少し呆れた顔になるが、すぐに恐怖で泣きそうな顔になる。
そう、司樹菜は怪しさ満点の瞳で螺樹を見ただからだ。
「いいわ。こうなったら、螺樹を可愛がるだけだから。」
「やっぱりですか?」
「うん♪」
‥‥‥その後、集神城に螺樹の絶叫が聞こえたとか聞こえなかったとか‥‥‥
司樹菜を織音以上に嫌っている螺樹の理由を知った出来事だった。同じような事をやっていた織音もいる。しかし、天神家はその愛情?で幸せにしているのだろう。