くしゃみの練習-1
「くしゅッ」
オシャレなカフェの中、あたし達が座っている席から可愛いワンピースを着た女の子が、
口を両手で押さえながら小さいくしゃみをしたのが見えた。
(うわぁ〜なんか超女の子のくしゃみじゃん。可愛いなオイ…)
「あの子のくしゃみ可愛くね?」
でっかいパフェをガキみたく頬張りながら、
タイチは私が見ていた女の子と同じ子を指さして言った。
「別にフツーじゃん?」
あたしは思っていることと違う言葉を発した。
バカだなあたし。
タイチと同じ事を思ってたのに、
何で素直に「そーだね」って言えないんだろ。
「じゃお前、あんなリスみたいなくしゃみできっか?笑」
タイチは鼻で笑いながら聞いてきた。
悔しくなったあたしは、「当たり前じゃん。」
なんて言ってしまう。
本当にバカだなあたし。何ムキになってんだか…
するとタイチはニカッと悪戯っぽく笑うと
「じゃ、サキが可愛いくしゃみする日を心待ちにしてるわ〜☆」
なんて言って、
再びパフェを頬張りはじめた。
参ったな…
あたしあんな天使みたいなくしゃみできないっすょ…
「サキそれいらねーの?俺食おうか?」
ぼーっとしているとタイチがあたしのパフェにまで手を出してきた。
あたしは慌ててその手を叩いた。
「ちょっ…食べるよ!!
アンタ自分の食い終わってから人のに手出してよね!!」
タイチは「ケチ〜」とフテくされて、また自分のパフェを食べはじめた。
(ま、タイチの前でくしゃみしなきゃ良いワケだし、そんなに深く考える事でもないか…)
タイチに送ってもらい家に着いたあたしは、部屋で一人、
奇妙な事をしていた。