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レン
【二次創作 官能小説】

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レン-8

『怖じ気付いたか?』
黙ってしまった彼女に俺は訊いた。
「いいえ。」
『ならいい、アゲハというのはまだ18かそこらのガキだ。だがガキの割には筋がいい。目的の為には手段を選ばないような冷酷さがある。自分の体を使おうが、相手を死に到らしめようが、自分の目的を必ず果たす。俺達は東京での流通はアゲハ1人に絞る事にしている。』
「珍しいわね。なるべく卸し元の情報が漏れないように、捌く時は複数のどうでもいい売人を使うのが麻薬密売の鉄則じゃないの?」
彼女は良い読みをしている。
麻薬の密売は本来、彼女の言う様な手段を選ぶのが正解だ。
だが組織はそうする事を拒んだ。
俺はそこに、組織を破滅へと導く鍵が隠されている様な気がしていた。
だが彼女にはとぼけた返事を返した。
『普通はな。俺の会社のお偉いさん方の考えている事はよくわからない。』
彼女には自らの手で、組織を破滅へと導く糸口を掴んで貰わなければない。
「ドラッグはどこから輸入しているの??中東?東南アジア?」
『君は知りたがり屋だな。それが身を滅ぼしかねない。』
「じゃぁ、あなたの会社の事でも教えて。」
彼女は退く気配さえ見せない。
『俺の会社は秘密主義でね。必要最低限な事以外は何も知らされない。きっと社の全てを知っているのは社長一人さ。』
そう、その秘密主義という組織の構造が俺をてこずらせている。
「じゃぁその社長はだぁれ?」
『俺は会った事ないね。社長に会えるのはほんの一握りの幹部重役だけさ。』
事実、社長への接見を許されているのは、専務である友常、常務であり俺の直属の上司である田端、そして警備・警護部門を担当し社長の秘書的な役割も担っているフールというロシア人の男だ。。
「あなたは重役じゃないの?」
『俺はせいぜい部長って所さ。』
俺はダークネスの流通を管理する部長と呼ばれるポストに就いている。
そして俺の他にもう1人部長と呼ばれる男がおり、その早坂という男はダークネスの仕入れを管理している。
「あなたが出世するのはいつかしら?」
彼女は意味深な発言をした。
『俺の出世を望んでくれるってのか。はははっ!!それは俺への好意からか?』
彼女の言葉が俺への好意からでない事はわかっていた。
彼女は決意した潜入捜査の為に、徹底的に俺を利用する気の様だ。
俺が出世すれば、組織の重要な情報をより多く握る事になる。
そして彼女がそれを聞き出せば、より確実な捜査が行えるであろう。
俺は彼女を真っ直ぐ見据えた。
「勘違いしないで。あなたが出世すれば、あなたに見染められて仕事についた私にも上に行くチャンスがあるんじゃない?」
『かも知れない。だが君はまだアルバイトか契約社員って所だ。』
「ご心配なく。働き次第でいくらでもチャンスはあると思ってるわ。」
『たくましいな。』
「たくましくなきゃ今の世の中生きてけないわ。」
俺は彼女の考えを誤解していた様だ。
彼女は確かに俺の出世を望んだ。
だがそれは俺を通して組織の情報を得る為ではなく、俺を利用して自ら組織の奥深くに潜入し、直接情報を掴もうとしているのだ。


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